短編ながらもいろいろと多くの要素がたくさん入っているのがこの「クミとクマ」です。

とても深いシナリオと作りこまれたバトル要素、多くのサブイベントの多さに私はやられてしまいました。

全体的な長さに比べてすばらしい要素の多さです!

  

 

<システム>

 

  システムに関してですが、これは前回紹介したイストワールと同じく時間の要素をとっています。

といっても、イストワールのようにシビアにプレイ時間を図られるわけでなく、「一日」といった単位で進んでいきます。

日にちの経過は宿屋に泊まったり、ある種のイベントをおこしたときに経過します。

 

 私がやった感覚としては、宿屋はあまり泊まるのがためらわれます。

でも、宿屋にとまらずとも、十分にエンディングにまでたどり着くことは可能である上、無駄に宿屋に泊まって一日経過させない限りは

時間切れによるゲームオーバーになることはないでしょう。

 

 

そして、回復も癖があります。

まず、キャラクターたちは通常の回復薬もあるけれどもお菓子で体力を回復させることができます。

このお菓子、使えばすぐ回復するわけではありません。時間がたつと回復するのです。

アイテムに即効性の有無が存在するので、なかなかリアルに近い要素だと思いました。

 

またこのゲームのキーパーソン…いやキーヌイグルミのグレイはそのヌイグルミという特性上

お菓子を食べたり、薬草を服用することができません。

その代わり、ヌイグルミなので壊れたところを裁縫で直すことによって回復するのでお手軽です。

 

 サブイベントの多さもこのゲームの魅力となりえるでしょう。

話が進んだり、日にちが進むことでいろいろな人々の会話が変わります。

会話をすることでサブイベントが開始することもあり、サブイベントをこなせばその後の旅が楽になる

貴重なアイテムがもらえることがあるでしょう、一つ一つ抑えるべし。

 

 

 <戦闘>

 

 戦闘はRPGツクール作品としてなかなかのこだわりを見せてくれています。

まずは、戦闘中にキャラクター達がしゃべる!相手によっても台詞が変わり、ここでも独特な世界観を表現しています。

そして味方が気絶すると、一定の確率でキャラクターが仲間を起こしたり、主人公のクミを仲間がかばってくれたり、

食らったと思ったダメージを幸運でなかったことにしたりと、RPGの戦闘の可能性を垣間見ることができます。

 

 人間であれば、戦闘の経験を積むことによって成長していきますが、ヌイグルミであるグレイに関してはそれは期待できません。

ではどのように彼を強くすればいいのか…。ということで、ここにも一工夫が凝らされていました。

グレイは戦闘が終了すると、ある確率で敵の魂を吸収します。(このイベントをこのゲームでは「吸魂」といいます)

これによってステータスがLv1でありながらどんどん強化されていきます。

強い敵とのエンカウントにおいては、相手の魂をアイテムとして所持し、戦闘中にその魂を体に入れると

グレイがその敵が使っていた技を戦闘中の間、覚えて使用することができるようになります。

 

特殊技能はイベントで覚える以外に手段はほとんどありません。

いろいろな場所にある本棚の興味深い本を読むことで新しい技能を覚えたりするので、

本棚を見つけたら必ず調べましょう!

 

 エンカウントはシンボルエンカウントシステムを採用しています。

接触するということがそうそうないので、操作が苦手な人でも結構かわせる程度でしょうか。

倒した後も、有効利用ということで、死体はいやでも必ず調べるべきです。

 

 

 <グラフィック>

 

 このゲームで私が魅かれた要因として、非常に多くのビジュアル要素を使っていることでしょう。

 

 キャラクター達の豊富な表情の顔グラフィックはシナリオに感情移入するのに重要な要因となり、

それだけでなくキャラクター達のなにげない仕草など細かいアニメーションも作られており、

ユーザーに対する細かい心配りをこのようなところに感じました。

見直しただけでも非常に多くの1キャラクターあたりの作画枚数です。

果たして、あなたはいくつの細かい作者のこだわりを見つけることができるでしょうか?

 

 そして、美麗な一枚絵がイベントの要所に差し込まれていて、非常に味をだしていました。

このスケールと手間とこだわりに拍手したいです。

 

 

 <シナリオ>

 

 ポイントをどこに入れるか、悩むところも多かったけれども、シナリオが好きな私として、このゲームのシナリオのよさとして

このシナリオ全般にポイントをおきたいと思います。

 

「あらすじ」

 主人公のクミはクリスマスの夜に両親からクマのヌイグルミをもらいます。

このクマのヌイグルミ、なぜか関西弁でしゃべる謎のヌイグルミで、それを追いかけていったクミは違う世界に迷い込んでしまいます。

そこはお菓子づくしの世界、そしてクミは国のお姫様と間違えられ、なぜか、魔王退治を押し付けられてしまいます。

元の世界にもどることもできず、クミはそのクマのヌイグルミとともにこの世界の冒険に出るのです。

 

「クミ」は8歳の幼い女の子、だけれども明るく、しっかりしている。手先が器用で裁縫をすることができます。

 

対して、クマのヌイグルミのグレイ、通称「グレ」はクミの母親、ナツミに作られたヌイグルミで、作っているときにナツミが見ていた

お笑いの番組で言葉を覚えたらしい。ヌイグルミゆえに裁縫だけで修復できる、序盤はすばらしい壁、終盤は主戦力と

このお話のメインとなり得るキャラです。このヌイグルミのためだけにゲームをすべし!

 

お菓子の世界でクミの護衛として就いたウェハース、彼は忠義の厚い騎士で、序盤から終盤まで頼れる戦力です。

忠義の厚さゆえか、頭がかたく、正義感にあふれている。たまに感情を抑えきれなくなるけれども。

 

そんな三人が繰り広げる、笑いだらけの珍道中!

そんなノリで進む話かと最初は思っていましたが、それ以上の演出に私はやられました。

笑いだけでなく涙もあるという、笑いあり、涙ありの物語とはまさにこのゲームだと私は思いました。

 

このゲームの作者様のサイト

<TANKTOWN>(管理人:入江ノジコ)さま(制作:クミとクマプロジェクト)さま

 

 

頼りないこの三人で、魔王を倒すことが果たしてできるのだろうか!?

クミとクマの友情なしでは語ることはできない名作です!

 

 

ヌイグルミといえども戦闘の方法がある!

グレイの真骨頂!

本棚の本の中には参考になるものもある。

技は本やイベントでしか覚えることはない…!

その場で裁縫をするだけで回復できるグレ。

ヌイグルミだからこそできるイベントも多い!

結局、ヌイグルミである彼に戦闘する力が手に入る日が来るのだろうか…?

なにげないイベントの最中にも、キャラクターの行動をアニメーションさせる技量が最高だ!

要所のイベントに差し込まれる一枚絵。

世界観の雰囲気を如実にあらわしている。

正義のための犠牲は決して無駄にしない魂とは…、リサイクル…?

期限までに魔王退治をしないと、世界が大変なことになる…!

ミニゲーム的要素も盛りだくさん!サブイベントにはちゃんとした報酬があるのでぜひやるべき。

謎の闇の商人。ろくなものを売らないが、もしかしたら欲しがっている人がいるアイテムも…?