今回紹介するのは言わずと知れた名作、「今の風を感じて」です。

この作品は、２００２年５月インターネットコンテストパーク金賞受賞作品というだけあり、

内容もはまりやすく面白いものに仕上がっている。

フリーゲームを始めてやる人にはおすすめの作品だと思います。

＜システム＞

　他のゲームと違う独自のゲームシステムとして、いくつか上げられる。

　まずは戦闘が「先行入力のサイドビューバトル」ということ。

先行入力とは最初にどのような行動をするか決め、その後に行動ゲージが溜まって、初めて

実際に行動を起こすというシステムのことです。それに加え、すべての行動（敵を含む）が

常時表示されているので、通常のＲＰＧよりも、より戦略性が求められているのがポイント。

　また通常の移動時に「ダッシュ機能」が搭載されており、マップの移動に戦闘は発生しない。

それによってストレスのたまらなくやりやすい仕上がりになっている。

　また戦闘がイベントのみなのでレベル上げなどは必要ないという点ではＲＰＧが苦手な人も

気軽にプレイできそうです。

＜戦闘＞

　このゲームでキャラクターを成長させるときは「チップ」と呼ばれるアイテムを使うことで出来る。

このチップ、自分の好きなようにステータスに振り分けることによって、独自のキャラクターを

作り上げることが出来る。また、何回でもチップの配分を増やしたり減らしたり出来るので、

戦闘で勝てなかった相手がいても、また違うチップの振り分け方をすることで倒せることもある。

　このチップの入手方法は、町の中で拾ったり、戦闘をこなして「チップの切片」というアイテムを

手に入れてそれを10個集めるとチップにすることができる。

チップの枚数はゲーム内で限られた枚数しか手に入れることが出来ず、すべて集めることで

全能力を最大にすることが出来るのだが、そうするにはやはり街中でチップを見落とさず、

かつすべての戦闘をクリアしないといけないので、とても手間がかかる。中には特定のイベント時で

無いと手に入れられないものもあるので、１周目は全部手に入れるのを諦めて、２周目以降で

チップをすべて回収することにしたほうがよいだろう。

　実際の戦闘では、術のみでの攻撃になり、毎回ＭＰを消費しなくてはならない。

もちろんＭＰは一定量しかないので、なくなりそうになったら「集気」コマンドでＭＰを回復しなければ

攻撃も回復も出来ません。

　攻撃や回復の威力はパワーゲージをタイミングよく止めることで決まります。

ゲージを高い状態にすればするほど威力が増し、消費ＭＰも多くなります。最も高い状態にすることで

攻撃をクリティカルヒットさせることも出来るが、タイミングをずらすと最小の攻撃になってしまうかも

しれないので注意が必要だろう。残りＭＰが後わずかであればゲージを上手く調整して消費ＭＰを

少なくすることもテクニックのうちだろう。

　そしてこのゲームでは次の敵の行動を明確に表示してくれます。もし敵が未知の攻撃をしてきたり

１人を集中して攻撃してくるようであれば「防御」することも重要です。このゲームでは防御は重要な

コマンドです。基本的にこのゲームでは特殊攻撃も防御さえすれば、特殊なペナルティを課せられる

ことなくダメージを軽減することができるので有効に活用しなければ戦闘での勝利は難しいといえるだろう。

＜シナリオ＞

　この作品では２人の教会「導士」、アレイドとティナが、世界でもっとも強大な「アルティス帝国」にかって

滅ぼされたファーレン王国のあった場所であるファーレン地方に派遣されるところから始まります。

　ティナはその滅ぼされたファーレン王朝の姫であるため、その地に過去の苦い思いでもある。

それを改めてアレイドとともに見つめなおしていくことで、成長をしていきます。

　かっては独立王朝であったファーレンもいまはアルティス帝国の支配下…。もちろんファーレンの独立を

望むものも少なくないはず。それぞれの別々な思いがファーレンに集まる。

＜グラフィック＞

　ＨＩＤＥさん作品の中でこの「今の風を感じて」からグラフィックがよりよくなりました。

今作品から辺境紳士さんがグラフィックを担当するようになり、イベントでキャラクターたちのＣＧが追加されました。

それによってより感情移入しやすくなり、なおかつとても印象深い見せ方をしており、この作品の一つの

良さとして推せる点でしょう。

美麗なグラフィックに新たなシステムが導入され、より親しみやすいＲＰＧ。

一見の価値はあります。